HOME » 表現活動日記 » 露鵬・白露山に見るコミュニケーション不全

露鵬・白露山に見るコミュニケーション不全

掲載日:2008年09月09日

大麻取締法違反容疑で、露鵬と白露山の両力士が解雇された。元幕内若ノ鵬を手始めに、これで合計三人のロシア出身の外国人力士が解雇されたことになる。

大麻吸引から再燃した角界批判

この問題は単に大麻を吸ったという事件では収まりそうにない。大麻は相撲取りのスポーツ選手としての薬物汚染の問題へと繋がるし、相撲協会の身内に甘い体質批判はさっそく新聞各紙で展開されている。「国技」としての品格の問題が取り沙汰されれば、外国人力士の指導の問題、日本人力士の弱さや若手力士への暴行・リンチ、心技体を備えない横綱の在り方など、さまざまな問題が呼び起こされ、再び議論が燃え上がっている。

露鵬・白露山の言い分

だが僕が注目したのは、角界における不祥事の連鎖よりも、若ノ鵬や露鵬、白露山に見る外国人と日本人の間でのコミュニケーション不全の問題だった。釈放された若ノ鵬は「日本のみなさん、すいませんでした。これから私は真面目にやります。許してください」と釈明し、「相撲に戻りたい」と涙を流していた。その意味で彼は二十歳の未熟な若者に過ぎないのだ。
この態度に僕もはじめは「何を今さら。事態がわかっていないのか?」と正直、思っていたのである。しかしその後、激怒しているという露鵬の話を聞いて、ふと考えたのだ。もしかしたらそれは僕が日本人的な視点でこの事態を眺めているからなのかも知れない、と。彼らの常識からすれば「こんな馬鹿な話があるか!?」「騙された! 日本人は冷酷だ! 外国人に差別的だ!」と言いたいのかも知れないのだ。

露鵬・白露山に見るコミュニケーション不全

コミュニケーションにおける齟齬の問題は、互いの観点や常識のズレに起因する問題で、外国人とのコミュニケーションにおいては、常々肝に銘じなければならないものである。これは大麻吸引の是非などとは別の問題として考えなければならないものなのである。またそうでなければニュースで伝え聞くように、露鵬が解雇処分に「絶対に納得できない」と言い、「怒りで体が震えるほど怒っている」ことが少なくとも僕には理解できない。

僕の常識からすれば、少しでもやましいところがあれば、あれほど頑強に身の潔白を主張しえないと考えてしまうからである。それほど怒っているならば何かの陰謀に巻き込まれたのではないか、と僕は考えてしまいがちなのだ。むしろこれでクロという判定結果が事実なのだとしたら、僕は一方的に裏切られた気持ちになるだろう。それは僕の常識では考えられない事態だからである。そしてだからこそ、僕も彼が逆ギレができたのは精神的な異常者や理解不可能なエイリアン(異人)だからに違いないと、安直に考えてしまいそうになるのである。外国人やアウトサイダーの友だちを多く持つ僕であってもそうなのだから、他は推して知るべしである。

他者はコミュニケーション不可能なエイリアンか?

だが人間をコミュニケーション不可能なエイリアンとして扱うのは明らかな間違いである。そう見えてしまうのは事実だとしても、そう見えるのは僕自身の常識で相手を計っているからなのである。外国人だけでなく、どんな人間でも自分の観点からだけでは他者は理解できない。事態をより立体的に複合的に捉えるには、多くの他者の視点が必要なのだ。その観点には当然、外国のものも含まれる。ついついそう見え、そう感じられてしまう問題だからこそ、異文化のみならずあらゆるコミュニケーションの根源的な不可能性という点をわきまえつつ、相手と向かい合わなければならないのだ。むろんその必要性があるならばだが、少なくとも僕はその必要性を感じている。

何らかの陰謀や刑事事件に巻き込まれていない限り、おそらく露鵬や白露山は大麻を吸っていたのだろう。基準値の5倍や10倍といった結果は動かしがたいものである。だが彼らの態度に違和感を覚えるからと言って、彼らを理解不可能なエイリアンとして決めつけるのは間違いである。
事件は事件として冷静に対処するとして、彼らの事件を見ていて、僕は自分の自分自身の観点を絶対視する傲慢さをあらためて感じた。その意味で彼らの事件は僕にも良い教訓を与えてくれたのである。

この記事が気に入ったら、ポチっと押してください。

△このページの上部へ


「露鵬・白露山に見るコミュニケーション不全」より前の投稿

  1. 我が愛車ベンリィCL502008年09月08日
  2. 歩数計(万歩計)が可視化する生活リズム2008年09月07日
  3. イーモバイルの料金プラン シミュレーション2008年09月06日
  4. 治験でジェネリック!2008年09月05日
  5. スピード(SPEEDO) vs ミズノ(Mizuno)2008年09月04日